青き空の中の紅き炎


朝起きると警察は引き上げていて食堂は入れなくなっていた
線が引っ張っぱられていて何人かの警察官が立っていてその中にいたジエムさんが私に手を振ってくれる
随分いい笑顔だね…
朝起きた時に部屋のドアの床の下に紙が置いていてこう書かれていた。
『朝ご飯はここの食堂以外で取るようお願いします』
今は外で食べる他ないようだ。
正直な所今ここに来るまで三日ほど自炊していたので自炊したくない。しかも美味しくないし…それにめんどくさいしなぁ……
そんなわけで外食をとることにしたのだ
寝巻きから普通の外用の服を着て外にでると晴れていたので
「明るいなぁ……」
と声が出てしまう
外は晴れていて強めの光が出ている。
帽子でもかぶれば良かったかなぁっとかんがえていた
さんさんと晴れているのは街の名前晴雨セイウに合うようだった
私は適当に街を歩きたまたま空いていたお店に入る
「何食べようかな…」
私はサンドイッチとオレンジジュースを頼んだ。料理が運ばれてきて私は食べ始める
すると隣の席から話し声が聞こえてきた
「聞いたか……昨日またあいつらが動いたみたいだ」
「それって街の不良共…?」
「ああ……それで一つの宿が壊されかけたらしい」
隣にいた男子2人は話しながらお茶を飲んでいた
ヒソヒソ話してるつもりだろうけど聞こえてるよ……
「でもよ今週で二回目だぜ?最近活発化し過ぎだろ……」
「ああ…俺らも落ち着いて寝れないよな
しかもあいつらなんか危なそうな奴らと取引してるだろ?この前見た奴がいるんだよ……黒髪で黒いフードかぶった奴からからなんか貰ってたの……あくまで噂だしよ…確証はねぇけど……」
黒髪……何かをもらう?
もしかしてあの武器のことか……
何を知ってるのか聞いた方がいいかもしれない。私はすっと後ろを振り向き
「ねぇ」
と声をかける
「ひぃっ?!……なんだよ…女かよ…何か俺らに用事でもあるのか?」
私は彼らの近くに行き小さな声で話しかける、
「あのさ貴方達が話してた街の不良の噂のことなんだけど。」
「それがなんだよ」
目の前にいる男達は私を睨む
「黒髪のフードの人と取り引きしてたのって何処かわかる?
もしよければ教えて欲しいんだけど…」
「ああっ?なんだそんな事かよ……。街の上の方に病院があるんだけどよ。その裏通りの道だ。そこで見かけたって言ってたぜ。これでいいか。俺らもあんまり関わりたくないんだよ」
男達は私にはしっしっとてをふる
「そっか!ありがとうねお兄さんたち」
私は軽くお辞儀をして自分が元いた席に座ると
またこそこそと小声が聞こえてくる
なんだよあいつ…関わって俺らが変な目に合うのは嫌だからな…
ていうかあいつ両目で色が違うかったよな。
ほんとそれ…変なの。普通あんなやつ居るのかよw
彼はクスクスと笑っているようだった
だから話してるの聞こえてるんだってば……
私は手をドンッとテーブルに置いて叩くと彼らはビクッとしていた
私はそっと右目に手をやり考える
変か…久しぶりに言われたなぁ…ほんとに別に好きでこの目じゃないんだけどね
私はさっさと机の上にものを食べ外に出た
私は彼らに話を聞いた後紅から頼まれていた最近のセイウの街についての調査をすることにした
『フードの黒髪』『謎の取引』少し気になるワードが多かったため彼らの言っていた病院の裏通りに行ってみようと思ったのだ
何も噂がない訳では無いんだね…私が思ってるよりも大きいことなのかもしれない
ミオはため息をつき目の前に大きくそびえ立つ病院の隣を歩いていく
目の前にある病院は白と緑でまとめられていて落ち着いた雰囲気だ。それもかなり大きい
大きな病院だなぁ…流石ヒイル家の本元だね〜
考えているうちに病院の隣を通り過ぎて裏の通りにはいる
そこには誰もいなく何人かの通行人が歩いている程度だったまあどこか雰囲気は暗いけど…
やっぱり噂だから確証はないよねー……
とりあえず何かはあるかと思いその通りを歩き出す
裏通りとは聞いていたが全然ライトとかもあり全くもって怪しい感じはしなかった
無駄足だったかー…あーーー
いやまあ一応ぐるっと1通り見るくらいはしようか……
とりあえず私は一回りをしてまた帰ろうと歩きだそうとした時だった
目の前に『フードの黒髪』その噂にぴったり当てはまるような人が現れた
「今度は貴方が取引ですか?」
気弱そうな声で目の前の"人"は問いかけてくる
女……?まさかでも声は女だ。どうやらこの人はあの噂と関係がある人みたい
私は一呼吸置いて
「そうだよ」
そう答え彼女が何かを話す前にまた話す
「あなたは何者?」
私がそう聞いたら目の前の女はは途端に動きが止まった
さあどう出る…
「くっくっくっ……さて私は何者でしょう!!」
さっきとは違う殺気を含んだ声でそう言ってフードの女は私に切りかかってくる
ていうか声大きい!!
大鎌サイザ!!」
私は大鎌サイザを出し女の攻撃を跳ね返す
女は衝撃を受けたにも関わらずくるりと回って地面に着地する
「あはははははっ…はははっ…私どれだけ運がいいんだろ……こんなところであのくれないのミオ・イレスに出会えるなんて…」
目の前に居る女は口をニィっとさせて笑う。甲高い声で笑う
この人私を知ってる…裏の人間か
笑い終わると、彼女はまた私に切りかかってくる。ぶつかり合う短剣と鎌の金属音が辺りに響き渡る
「あんたさー私のこと知ってるでしょ?覚えてるでしょ?だったらさー当てなよ!私は誰でしょうーか!」
キィーッンと何度もぶつかる音が聞こえてくる。私は短剣を弾き返し続けてるが…1発1発が重い!…この人強い……!
「ちっ……」
気づいたら壁まで追い詰められていてまた目の前の女の人は問いかけてくる
彼女が自身の首元近くにナイフを構え
「ねぇ私のことわかるでしょ?」
ニッコリと笑いながら言ってくる
「顔もわからないのにわかるわけないでしょ!!」
私はそう言ってまた女に切りかかりに行く
「はあああっ!!」
私が放った一撃で被っていたフードがめくれ女の顔が見えた。見えたのは黒髪三つ編みに水色の瞳。そして私を睨むどこか見たことのあるような顔
「はははっ……やるね……」
目の前の彼女はにやりとしながらこっちを見る
「これで私のこと思い出した?」
そう言ってまたニヤリと笑う女
顔を見ても知っている人ではない
「貴女何を勘違いしてるのかわからないけど、私は貴女は知らないよ
あなたのように私を睨む人はたくさん知ってるけどね」
私はそう言って彼女の目をしっかり見て答える
目の前の彼女は不気味な笑い声を出しまた笑う
「あははっ……はははははっ!!なーに馬鹿げたこと言ってるの?
貴方が私を知らないはずがない…
ふざけたことを言うんじゃない!!」
彼女は目を開きながら叫ぶ
叫ぶのと一緒に体から黄色の魔力が見える
落雷トランダー!!」
私が気づいた時にはもう技が放たれていてもこちらに向かってくる
防御シールド
すると彼女はにやりと笑い
「そんなもので私の雷落が抑えられるわけがない!落雷トランダー!!」
2発目っ!!早い!間に合わない!!
目の前がカッと光り、体に電流が流れる
「っ…うあああああああっ!!!」
全身から力が抜け手から大鎌が落ちる
大鎌が手から離れた瞬間小さくなる
「あははは……どう?私の力!
武器もそれじゃあもうまともに戦えないよね?」
彼女はまたニタァっと笑う
また腕を振り上げ雷、落雷トランダーを放とうとしている
「っ………」
腕や足動かすためのところは動かない
それに炎と雷は相性があまり良くない。単純に彼女の使う魔法が私より威力が大きいんだ…今はダメだ
あんまり使いたくないんだけどなぁ
それにこの魔法は嫌いだ
私はうまく動かせない体に力を入れ叫ぶ
時空カーサム間上ステイション隙間テンプラル!」
私がそう叫ぶと私の下が黒くなり落ちる
その瞬間彼女の目の前にフレアを放ち壁を作る
「しまっ……!」
彼女の声が聞こえ落ちる前に私は消えた
やられた。使う可能性あったのに
まあいい次に会う時には必ず…

そう言って彼女はニヤッと笑い雲のようにその場から去っていく

 

 

「いたたた……うまく力入らないや……」
体に着いた土埃を落とし自分の体を見て確認する
さっきの雷撃トランダーのせいでリボンや髪、服の一部が焦げていた
はぁ…まさかこんな時にこの魔法が使わないといけなくなるなんて…
魔力消費が大きいのになぁ…最悪だよ…
そんなことを思いながら私は白い空間に座っている。机もベットも食べ物も何もないただの空間。
多分5〜6坪ほどの大きさだ。
それは魔法時空間上の隙間(カーサムステイションテンプラル)で作った特別な空間だ
それは私しか関与できない"特殊な魔法"
私の一族だけの魔法なのだ。使い勝手は本当に悪いけど…
私はごろりと寝転がる
「どうせしばらく体がうまく動かないからここにいよう」
痛む身体を我慢しながら
そんな独り言が空間の中を反響する
「ちっ……逃げられたか。」
ミオと戦ったフードの黒髪の少女がそうぼそっと呟く
"特殊魔法イレイス"と戦うなら時空間魔法も考えて置くべきだった
そんなことを思いながら静かに歩き出す
「モプさん。」
自分の歩く音しか聞こえなかった中突如声が聞こえてきた声
低く、男らしい声だ
"モプ"と呼ばれた黒髪の女はハッとして振り向く
「外では名前を呼ぶなと言ったはずだけど?ブラック」
ブラックと呼ばれた毛先の赤い黒髪のメガネ男
「今の貴女の感じなら名前を呼ばないと反応しません。それにあなたも名前を呼んでます。」
「いやお前は偽名だろ……」
「まあそうですね。」
どうでと良さそうな雰囲気でそいつは私を見る
モプと話す男は無表情でただ淡々と話す
「まあ確かに名前を呼ばれた方が反応はするけど。
まあいい。ところでなぜいつも本部にいる貴方が?」
私がそう言うとブラックは表情を一切変えずにため息をつく。
「モプさんがこの前、武器の調子が悪い、と言って押し付けてきた武器を調整し終えたので渡しに来たんです。」
どうぞと言ってブラックは私の使っているナイフを渡した。
「ああ、これね。ありがとう。
ブラックいつから此処に。」
私は受け取りながら聞いた
「……そうですね。モプさんが戦い始めたくらいから見ていました。
初めて空間魔法を見ました。興味深い魔法です。」
ブラックはそう言うと口元を少しニヤッとさせるが目は笑ってない
「ブラック、お前目、笑ってないぞ…。
まあいい、何故一緒に戦わなかった」
ブラックはため息をつきながら
「もしあの場面で貴方に手を出して、余計な事したらモプさんに殺されかねませんから。
それに俺は戦闘は得意ではありません」
あなたも俺の属性分かってるでしょう?と無表情でそう言うブラック
ブラックはそう言うとため息をつく
裏通りから出るために歩き出す
「まあ。確かにあの時手を出されていたらいくらお前でも、殺していたかもしれないからな」
ははっと笑いながら私は答えブラックはブラックで無表情のまま
「あー怖いです」
とトーンを一切変えずに話す
私はため息をつき
「はぁ……もういい行くぞブラック」
「はい」
目を開けると真っ白な空間にいた
私はむくりと起き腕を上にやり体を伸ばす
「んあーよく寝たー……」
流石に体のしびれやうまく動かなくなっていたのは回復しているようでむくりと起き上がり屈伸や飛んだりはねたりして体を動かす
「いつまでもここにいてもだよねー
出るかー……」
壁のあるところまで行き壁をコンコンと叩く
するとドアができる
時空感情の隙間(カーサムステイションテンプラル)は便利なもんで作ったら約1週間はずーっと存在している。
まあ人によるんだけど
今の私なら1週間と3日くらいはもつ
できたドアに手をかけ出たいところを想像する。宿の部屋の中を想像しながらドアを開けて外に出ると窓から見える空が赤くなっていた
夕焼けかな…
「6時間くらい寝てたのかな?」
思っていたよりも寝てしまっていたようだ
ボロボロの服のまではあれかと思い服を着替えようと思った
「この服作るの時間かかるのになぁ…」
まーた怒られちゃうや
服を着替えてる最中にこんこんとドアを叩く音が聞こえる
「失礼します」
入ってきたのはレナだった
「あれ?ミオさん…出掛けてませんでしたっけ……?」
レナは首を傾げながらミオを見ながらいう
「えっ?あっあっー……さっき帰ってきたんだ〜」
私着替えた服を後ろに隠しながらニコニコとしながら答える
「あら?そうだったんですね。フロントにいたのに全然気づかなかったです」
レナは苦笑いをして布団のシーツを取り替えようとこっちに来る
やばいやばいバレたらダメだからね…
「あっ布団のシーツ?ありがとう!」
「いえいえこれが仕事なので!あっそういえば警察の人がミオさんのサインが欲しいって言ってましたよ?確か茶色に黒い瞳の男の人です…頼りなさそうな?」
レナはそう言いながら素早くシーツを変えた
「えっ?あれかなジウムさんかな……」
「はい。多分そうですよ〜」
レナは変え終わるとドアの方に向かう
「あっミオさん。夜ご飯はここで食べてもらって大丈夫なんで。食べたくなったら来てください」
「分かった〜」
私はその後ご飯を食べジウムさんに会い
寝たのだった
たったったと足音が聞こえてくる
「モプ〜!」
高めの可愛らしい声でそう呼ぶピンク色の髪をしたかわいい女の子
モプの姿を見つけるとモプの懐に飛び込んでくる
「いたいた!!ブラックくんが呼んでたよ!」
そう言って抱きつきながら話しかけてくるのでモプは顔下げ
「分かった分かったミミ……分かったからとりあえず抱きつくのやめてな?」
モプがそう言ったらミミと呼ばれた少女はむーっとした顔で離れる
「別にイイじゃん……抱きつくくらい……」
「はいはい拗ねない拗ねない」
そう言って頭をポンポンと叩くと
「拗ねてないもん……モプのことブラックくんが探してたよ!一緒に行こ!」
そう言って手を繋ぎ引っ張るミミ
「行くから行くから……少しは落ち着け!あっ!ちょっおい!」
モプの言ってることを聞かずに歩き始めるミミ
たっく……ミミにあんまり強く出れないの知っててやってるなブラック……
「んで?来てやったけど何のようかなブラック。何も無いなら帰るけど」
モプはドアの横の壁にもたれながらブラックに聞いた
ブラックは明らかにため息を付きながら
「用がなかったら呼ばないですよ」
そう言ってブラックはとある紙をモプに渡す
こいつなんでいつもこんな腹立つ言い方するんだ?
あー…と逃がすしイライラする
「これ…カイトさんからです」
モプは黙って手紙のようなものを受け取る
「用ってこれ?こんなもんのためにわざわざ……」
モプはその紙を開き見てにやっと笑う
「………なるほどね……うちのボスも面白いこと言ってくれるね………」
ああ面白いことになりそうだ
「ねぇ…モプ、カイトさんからどんな伝言来てたの?」
「"近々紅が動き出すだろうから『セイウ』の街で戦う準備をしておけ"だってさ」
ミミは対して興味無さそうにそっかぁぁと言いウロウロし始める

「しばらくは退屈しなくて済みそうだ」

 

 


「おはよー……」
ミオはのんびりとした口調で食堂で朝ご飯の準備をしていたレナに挨拶をする
「おはようございます!ミオさん」
挨拶をしながらも両手を動かしせかせかと働くレナ
「もうここで食べていいんだ」
「えっ?あっはい!警察官さんにお願いしました!お客様にもご迷惑がかかるって言って」
ふふっと笑いながらレナはさっきの別の宿泊客が食べていたのであろうお皿を持ち歩き出す
「ミオさんのお席はこちらですよ」
そう言われてわたしもレナが進む方向に歩く
相変わらず壁は壊されたままだ。ポッカリと穴が空いているがそこにビニールテープを被して隠している。
申し訳ない気持ちで一杯になるもう少し早く気づいていれば被害すらもなかったかもしれないのに…
そんなことを考えていると目の前に自分が座るであろう席ひしっかりと準備された朝ごはんが置かれていた
「わあああ!美味しそう!これレナとハルが作ったの?」
「はい!」
私に質問された答えをニコニコしながら受け答えするレナ
美味しそうに見える料理を見てやっぱり料理上手だなと思ったのだ
朝ご飯を食べたあと私は昨日の黒髪の少女と出会った場所に向う
やっぱり気にしないと思っていても気にはなるものだ。
それに彼女が私に言ってきた
"私のこと分かるでしょ?"
という言葉が私にはどうしても頭から離れない。もしかしたら私が忘れた記憶かもしれない。彼女は私を知っている。だけど私は知らない。
歩く速度がどんどん早くなる
私には記憶が無い。紅に来る前の記憶がほとんど無い。
ただ覚えてるのは火に塗れた私の家らしきもの、人の悲鳴、血塗れになった両親らしき人の姿。
それより前のことは覚えていないのだ
そんな記憶しか無いものだから私が彼女を覚えていないだけなのかもしれないと思ってしまう
だとしても彼女は私とどんな関係があるのだろうか?それが知りたいと思ってしまった。
知る手立てもないしできる限り関わりたくなかったんだけどな……
知ることは怖いことだ。知ってどうする?だけど……
ため息が出る。
そんなことを考えているうちにどうやら目的の場所に着いたようだ
だがそこについてもわたしには昨日現れた彼女は本当に誰だったのか分からない
「はぁ………今の所は何も無いし…とりあえず近辺調査だけして帰ろう」
また私は歩き出す

わたしは付近を歩き回ったあと
街が良く見える高台にきた
そこから見る町はカラフルな屋根が沢山見え楽しそうに笑う人々を見れる
楽しそうだなぁ
本当に誰なのだろうか…黒髪の少女いや女性なのかな。年上だったことはわかる
私のことも知っている。ああほんとうに誰なのだろうか
ふと不意に音が鳴り響く
わたしはポケットをゴソゴソしてその正体を突き止める。音の正体はどうやら私が持っていた連絡用魔法道具だった
ボタンを押すと聞き慣れている声が聞こえた
「ミオ。リカだ。お前が昨日連絡してくれたようにこちらでも調べてみた
どうやら今お前のいる街に名もなき組織の幹部が居るようだ。警戒しておけ。
とりあえずそちらに何人か送っておいたから明日には着くはずだ」
リカは声のトーンを変えずに淡々と連絡だけする
「そっちに向かっているのは、プルメリアとコウト……後ミナ」
「えっ?ミナちゃん?なんで?」
道具越しにため息をつく声が聞こえる
「当たり前だ…。相手はミオ、お前が怪我をさせられるほどの奴だ。それにだ、何かあった時に回復要因はいた方がいい。」
私が昨日怪我を負ったからでリカちゃんなりの気遣いだろう
優しいなぁみんなが傷つくのを避けてる
「そっか……わかった。とりあえず今は何も無いよ。引き続き調査続けるね」
「ああ。何かあったら連絡をくれ。俺からミナに回す」
わたしは一呼吸起き答える
「うんわかった。あのさリカちゃん
。調べて欲しいことがあるのだけど……」



晴れる空の中歩く人達がいた

「あーまだつかないのかよ……セイウの街ー!!」
声を上げた茶髪の男の子は上を向き手をだらんとさせながら気だるそうに歩く
「もうすぐだよ。男なんだから我慢しなよ、コウト」
そう言って後ろを歩く男の子に注意をする青色の髪の女の子
そして男の子の後ろをテクテクと歩く金髪の女の子
「そっそうですよっ!コッコウトさん!もうすぐですし!頑張りましょう!」
その女の子はたったったと走りコウトと呼ばれた男のコの前でグッと手を握る
「おう……けどよ…あともう少しって言われてから結構たってるんだぜ?あっち出たのもかなり早かったし…眠い……」
コウトは目を擦り欠伸をしながらまた歩く
そんな姿にミナはため息をつきまた言ってくる
「まあ遠いっちゃ遠いけど……まだまだはかかるかな?
さてっ!急ぐわよ!プルメリア!コウト!」
青髪の女の子がにこっと笑いまた歩き始める
「はい!ミナさん!」
「おおー……張り切ってるなぁミナ……」
その後ろをついて歩くプルメリアとコウト。その3人がミオて合流するまで後半日
一方ミオは
「はぁ……名もなき組織の幹部……か……」
これはいよいよめんどくさい事になってきてるなぁ
どうしようか…3人が着くまで待ってもいいんだけど………むううう
「はぁ……かんがえても何も出ないやー!」
またトボトボと歩き出すミオ
ほんとわかんないや
彼女は何のために?私の過去を知ってるのかな。私の知らない覚えていない過去を
「はぁ……」
息をするかのようにため息が出る
ああ私ダメだなぁ
今考えてどうするんだ今なにか出来ることはない
私ひとりで戦うには相手の属性は不利すぎる
私では電気を使うであろう彼女には電気の有利属性の炎では勝てない
例え魔力で勝っていたとしてもダメージが大きいんだ…
ダメだダメだ!考えては行けない
「帰ろう」
そんな言葉がポツリと出た



暗い部屋、少しの明かりが灯る中

黒髪の男が何かを作っている
カチャカチャと鳴り響く金属音
「ねぇ、ブラック。あんたカイトさんになにか頼まれてるの?」
黒髪の女、モプが話しかける
「なにがですか…俺、手紙見せましたよね」
「ふーんそっか」
側においてあるドライバーに手を伸ばし何かを接合した後ブラックはモプを見ながらため息をつく
「はぁ。気になるなら聞けばいいんじゃないんですか?
別に変なことをする訳でもないですから」
そうブラックが問いかけるとモプは頭を掻きながら
「いや今聞いても楽しめないし」
またブラックは溜息をつき
「俺はあなたの楽しみとかは知りません。こんなこと面倒なので早く帰りたいんです。新作の武器、あともう少しでできそうだったのに、あなたのせいでこちらまで駆り出されたんですから」
いつもと全く変わらないいや変化することのない表情で話すブラック
壁にもたれかかっているのをやめてまっすぐ立つとわたしはそいつを見る
ていうか今日はよく喋るなこいつ
「はいはい、ごめんってばブラック」
私がそう言ったらこちらを少しだけじっと見てまた手元に目線をやるブラック
「……」
返事返せよ……
しかも表情ないからなんか怖いのだけど
「まあいいや。んでいつから動き出すんだ?」
「今夜です。準備しておいて下さい」
「はいはい分かりました。」

私はその返事を聞いた後にブラックの居た部屋を出る